2006年のラクガキです。たまには小説仕立てに書いて見ましょうか─
「蛙」
機械油やホコリっぽい空気を感じて目が覚めた。薄暗い。体を動かそうとしたら足と腕に鈍い痛みと痺れがあって動かせない。金縛りにでもあっているのかな、と思って頭を動かしたら足がベルトのようなもので縛られているのが見えた。
「んむぅっ!?」
息を深く吸い込もうとしたら呼吸が苦しい。口の中に何か詰められているみたい。体をよじるとジャラジャラとかギシギシとかいやな音がする。周囲を見回そうとすると首に何かが巻かれて苦しい。ていうか私、裸にされてる・・・? 叫ぼうとしたけれど「う゛ーっ」というくぐもった声にしかならない。
わずかに動く体と頭で自分が置かれている場所を確かめてみる。ホコリをかぶった機械や工具、赤錆びた柱、鉄骨の梁、ところどころ光の漏れる古びた屋根。床はコンクリートのようで肌に砂がついて擦れるたびに痛い。後に回された腕が何かで縛られ、自分の重みで押し潰されて痺れている。
人の気配がしないと思っていたら足元の方でガチャッという音がした。不自由な首を向けると逆光に黒い影が動いていた。
「むーっ、むーっ!」
助けを乞おうとしたが、私をこんな風にしたのはこの影に違いない。逃れようと必死に体を動かしたら縛られた肌が内出血しているらしく鋭い痛みが走った。怒り、悲しみ、絶望が体の中で暴れているのにそれを吐き出す出口がない。私が何をしたっていうの? くやしくて涙が出た。
影の息遣いが荒くなり、時折悲鳴とも笑いともつかないような声が聞こえた。ギッとかゲッという気色の悪い声。人とは違う獣・・・いや、もっと湿り気を帯びたような。そう、カエルだ。ヒキガエルのような声。想像して吐きそうになった。
「・・・!」
股間にヒヤッとした感触が。ヌルヌルした冷たい指がスリットをひと撫でしたかと思うと下の奥の隙間に侵入。何かを塗っているようだ。足を閉じようと試みたけれど、足に巻きつけられたベルトを引かれてさらに苦しい体勢に。彼にも見せたことがない穴を無理やり拡げられて指でこねくり回されている。こんなことを続けられるならいっそこの場で殺して欲しい。
執拗にかきまぜられ、背中まで液が滴ってきたところで指が止まった。影の鼻息が一瞬止まったかと思うと、急に何か固いものがするっと私の中に滑り込んできた。
「んむぅっ!」
お尻の割れ目に押し付けられたと同時に冷たいものがどんどん腸内を満たしていくのを感じる。
(何っ? まさかこれ・・・かんちょう?)
ひどい便秘に襲われたときでも手を出すのをためらったのに、こんなところでしかも誰だかわからない奴に浣腸されている。下腹がどんどん重くなっていく。ひどい。
挿入された固い管が抜かれたと思ったらすぐ次が侵入してきた。
「んんっ! んー! んんー!」
暴れて抵抗しようとしたら挿入された管が深く挿さって激痛が走った。それに縛られたところも締め付けられて痛い。ジワジワと腸内を薬液で犯されはじめているのをじっと震えて耐えるしかなかった。情けない。涙がぽろぽろ出てきた。
(もう・・・やめてッ!)
心の中で叫んでも容赦なくその拷問が続いた。目線を下にやると自分のお腹とは思えないようなものが呼吸に合わせて上下している。お尻に力を入れて漏らさないように耐えていたけれど、もうすでに限界。注いでいる端から漏れ出たものが後で縛られた腕の方にも滴ってきた。
私のお腹は醜くふくれ上がってギュルギュルと音を立てて今にも破裂しそう。まるでカエル。それでも、それでも私は最後まで出したくなかった。子供の頃だって親に粗相の瞬間を見られるのはイヤだったのに。排泄を他人に見られるなんて女として、いや人間としてとても耐えられない。私は目線を影の方に送って懇願した。
(はやく、はやくトイレに! お願いっ!)
だが一向にその影は手を止める気配がない。ずっと無言で、いや「ゲッ」とか「グヒッ」という鼻息を漏らしながら私の中に容赦なく液体を押し込んでいった。
(・・・もうだめ、もう・・・いやっ・・・いやあああぁぁぁっ!!)
薄闇の中で破裂音が響き渡ったとき、私の中で何かがブツッと音を立てて切れた。同時に、もう後戻りできない開放感を味わっていた─