以前から「現代的なクリックアドベンチャー」について色々書いてきているのですが、今回はストーリーボードについてです。
ストーリーボードは物語の流れを紙芝居形式で絵と簡単な文章で表現したものですが、イメージボード、イメージスケッチなどと呼ばれる場合も有り、多くの場合「制作の初期段階で作品の大まかな像をスタッフ間で共有する」ために造られ、ここから脚本、絵コンテ等が起こされてゆきます。
広く使われるという事はコンテンツ制作のワークロードにおいて有用であることにほかなりませんが、巷で語られるストーリーボードは映像作品向けの物ばかりで、ゲーム等の「分岐の多いコンテンツ」向けのものは少ないように思います。
そこで、クリックアドベンチャーにおいて有用なストーリーボードについて考えてみたいと思います。
クリックアドベンチャーゲームでのストーリーボードにおいて表現しなければならない内容は「操作の内容とそれに伴う画面遷移」となります。
具体的には
- クリックによる場面転換
- クリックによるテキスト、音声などの台詞の進行
- ドラッグによるアニメーション表示
- ドラッグ中のパラメータ変化による場面転換
- ドラッグ中のパラメータ変化によるドラッグ終了時の場面転換
1、2については単純に「この場所をクリックすると次の場面に移る」という事なので簡単なのですが3については盛り込む機能によっては相当複雑な分岐となります。
そして「盛り込む機能」を考慮した場合大抵は「プログラムの内部的な動きをどこまでストーリーボードに反映させるか」が焦点になります。
現在開発中のフレームワークではドラッグに対して以下の機能を持っています。
- コマンドアイコンをクリックすることによりマウスカーソルを変化させ反応するボタンを限定する
- ボタンごとにドラッグ中のマウスの動きに対して、どのように画像をコントロールするか(マウスの動きに画像を同期させるか否か)を指定できる
- 非同期の場合はマウス操作の方法ごとに表示画像を指定できる
- 同期の場合は直線操作か回転操作かを指定できる
- 画像ごとに表示時に再生できる音声、テキストを指定できる
- 各種操作に条件で分岐処理を入れることができる
などなど
と、上記のように様々な機能、条件指定を行う事が出来ますが、詳細な事柄まで書けば全体の把握が難しくなりますし、自分が見てもややこしいと思う物は別のスタッフが見てわかるか?など様々な問題が出てくることは目に見えております。
よってこの点については、「誰がストーリーボードを描くか」によって変わってくるのですが、当方の意見は「専らゲームの外側から見た動きを記述すべき」となります。実際に当方は現在ストーリーボードを描いているのですが、内部のプログラミング的な内容はほとんど考えていません。
それは、絵師との意思疎通の点で「あまり内部的な事を記述しても意思疎通と言う点で意味が無い」という事も有りますが、何より自分の中でゲームの動きに対して明確なイメージを持つ事も目的にしているからです。
また、あまり細かく書かなくても文脈でわかるよね?
って言うのを期待している部分も有ったりします。(本当はそれではいけないのかも知れないのですが)